フィリッポ・タリオーニはイタリア人バレエダンサー、振付家で、ロマンティックバレエの名花マリー・タリオーニの父親です。
ミラノに生まれ、もともとはイタリアでいわゆる女形のダンサーでした。1803年にスウェーデンのストックホルムのバレエマスターに就任し、スウェーデン人バレリーナと結婚します。1827年に娘マリーと共にパリオペラ座に職を得、『ラ・シルフィード』などポワントの技法を駆使した作品を振付けます。1837年から二人はロシアのサンクトペテルブルグに移り、1855年に引退します。余生はイタリアのコモ湖の湖畔で過ごしました。
父の手ほどきによって習得されたマリーの踊りはエレガントで洗練され、技巧に優れているだけでなく、繊細なマイムによって悲劇から喜劇までを自在に演じ、人の心を強く打ったといいます。
1862年に妻を亡くしてからは忘れようと旅にでたとも、また寂しさから奇行にはしり、マリーの財産の大部分を株に投資し、失ってしまったともいいます。
ポワントの技術の発展は一重にこの人に負っているといえるでしょう。